TeX のソースを書こう!

「基本的な構造は知ってます。」と言う人は、数式、表などの作り方の解説「文書の整形」をどうぞ。ただし書きかけ。

TeX(というプログラム)は、ある一定の形式で書かれたテキストファイルを処理して dvi 形式のファイルを出力します。dvi ファイルはそれぞれの文字とその位置の情報を持っています。したがって「ある一定の形式」に乗っ取ってこれらの情報をソースに盛り込んでおく訳です。

見える情報と見えない情報

TeX のソース(TeX に処理させるファイル。原稿と言った方が分かりやすいか?)は、印刷の時に表示される部分(本文や見出しなど)と、それ自体は表示されずに字の大きさやレイアウトなどを指定する部分(プリアンブル、コマンド)からなります。 例えば本文中の一部だけをイタリックにしたい場合は「この文の{\it ここだけ}がイタリックになります。」と書くと「この文のここだけがイタリックになります。」と言う感じに(最終的には)印刷されます。 この "\it" が(もちろん他にもあるけど)コマンドです("{ }" はコマンドの有効範囲を指定している)。 実際のソースにはコマンドや本文の他にプリアンブルという部分があり、ここでは紙の大きさ(印刷範囲)などを指定します。

特殊文字

先に書いておきますが、いくつかの文字は本文中でそのまま使う事は出来ません。具体的にはコマンドに使われる次の記号です。

  % { } & # $ _ ^ ~ \

これらはソースにそのまま書いてもコマンドに一部と解釈されてしまい、正常に印刷されません。これらのうち最後の3つ以外は、\% \{ のように、"\" を直前に置く事で印刷できるようになります。最後の3つに関しては \varb!^! \varb!^! \verb!\! と、"\verb!" と "!" で囲います。ここで "!" を使っているのは特に意味はなくて、"\verb-" と "-" でも"\verb/" と "/" でも何でも大丈夫です。

ちなみに TeX や LaTeX のロゴ(そのソース(Mac 用なので SJIS)は \TeX \LaTeX でそれぞれ印刷できます。

TeX のソースの基本的な構造

まずは実例を見てみましょう。(Mac 用のこのソースをダウンロードできます)


% TeX 入門(for Mac) テスト用ソース
\documentclass{jarticle}
\title{Mac で TeX!}
\author{佐藤 大'}
\date{1998/11/18}             % ここまでがプリアンブルです。

\begin{document}
\maketitle

\section{はじめに}

Macintosh で使える TeX 環境があると言うので TeX とやらを使って
みる事にした。んで,覚え書きついでに TeX 入門を書き始めてはみた
ものの,C やら REALbasic にはまってしまって,すっかり忘れてたん
ですね。これがまた。

\subsection{できれば}

また忘れるかも知れないので,気が付いたら「◯◯の説明はまだか,
このやろう」とか何とかつっついて下さい。よろしく。

\section{今後の方針}

そんな訳なので,方針も何もないっす。:)

説明してほしいネタがあったら,ぜひお知らせください。

\end{document}

このソースをコンパイルしたりなんだりする(詳細は「TeX による文書整形の流れ」参照)と、最終的にはこんな風に印刷されます。


各行の % から後ろはコメントです。TeX は何も解釈しないので、% の後ろに自分用のメモなどを書く事ができます。% は本文中でも使えます。

\documentclass では文書のスタイルを指定します。{ } の中には

のいずれかが入ります。"j" が付いているのは日本語を使う場合です(日本語の letter はありません)。また \documentclass の後ろに option を付けて、\documentclass[11pt,twocolumn]{jarticle} などとする事もできます。option の主な物には などがあります。

プリアンブルでは、印刷範囲の設定、行間の幅、段落間の幅など、非常にさまざまな設定を行う事が出来ますが、ここでは最小限の物しか書いてありません。\title にはタイトルを、\auther には著者の名前を、\date には文書を書いた日付を指定します。これらのデータから、次の \maketitle によって表題部分が自動的に作成されます。詳細に付いては、またあとで説明します。

本文部分(最終的に印刷される部分)は、\begin{document}\end{document} で囲います。特に \end の方は忘れやすいので注意。

\maketitle コマンドは、二つ前の項で説明したプリアンブルで指定したタイトルや著者名などのデータから表題部分を作成します。

各節の見出しは \section の { } の中に指定します。第1節、第2節などの番号は勝手に順番に振ってくれます。\subsection は、節の下のレベルの見出しです。これも勝手に番号を振ってくれます。
このような章や節を表すコマンドには

があります。ただし article と jarticle では \chapter は使えません。良く使うのは \section から \subsubsection までの3つくらいですかね。まぁ書く内容によっても違いますけど。

最後に改行について触れておきます。このソースの「始めに」の節の本文でも分かるように、文の途中に改行が一つ入っても印刷された状態には何も反映されません。しかし空行(つまり2連続の改行)があると段落の切れ目と解釈され、次の文字はインデントされて(頭下げされて)印刷されます。またバックスラッシュを二つ(\\)入れると、その部分で強制改行が入ります。この場合は段落は変わらず、インデントも入りません。


文字の見た目の変更

フォントを変える

TeX では何種類かのフォントを使う事が出来ます。日本語のフォントは明朝体(標準)またはゴシックの2種類です。英語のフォントはもっと多く、8種類が使えます(これらのフォントのサンプルサンプルのソース(Mac 用なので SJIS))。

日本語
英語

これらのコマンドは次のように範囲を指定して使います。

フォントを変えると{\gt ここはゴシック体に}なるし、英語
でも {\sc I have small Caps.}なんて風にやります。

フォントサイズの変更

文字の大きさは10種類あります(大きさのサンプルそのソース(Mac 用なので SJIS))。

これらのコマンドもフォントのコマンドと同様に、

こうやれば{\tiny 最も小さい字}から{\Huge 最も大きい字}まで、
好きに使えます。

という具合に使う事ができます。


続きの文書の整形(数式、表など。書きかけ。)へ。


ご意見ご感想は「けいじわん」(webBBS)までどうぞ。
satodai@dog.intcul.tohoku.ac.jp